株式会社 真工社
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耐食性とは?

多くの金属は腐食します。
いわゆるさびます。

しかし、金属が全て同じようにさびるのではなく、鉄のように少しのあいだ風雨にさらされていただけでさびるものもあれば、通常の環境ではあまりさびないステンレス、ほとんどさびることがないといわれる金など金属の種類によって錆さびやすさに差があります。

では、このような違いが生じるのでしょうか?

 
耐食性を説明する前にまず金属はなぜ腐食(さび)するかについて説明します。

金属の表面はその周辺の気体や水蒸気などとの間に酸化還元反応という化学反応により純金属から金属化合物に変化します。

その変化により本来その金属が持っている外観や機能が損なわれる状態を腐食といいます。

この腐食の反応速度を比較したものを耐食性といいます。

では、なぜこの腐食反応速度に違いが生じるのでしょうか?

まず、金や白金が腐食しにくい理由ですがこれは物質自体が安定したものだからです。

上記の酸化還元反応が生じるにはその金属がイオン化しなければならいのですが、金や白金は非常にイオン化しにくい(イオン化傾向が低い)物質のため腐食が生じにくいのです。

では、イオン化しやすい(イオン化傾向が高い)物質はすべて腐食しやすいのかというとそうではありません。

金属の中にはイオン化したものが大気中の酸素と結合し、酸化物となり金属表面を覆ってしまうものがあります。

この皮膜のことを酸化皮膜(不働態皮膜)といい厚さは数nm(1/1,000,000mm)と非常に薄い膜です。

ステンレスなどはこの皮膜が非常に緻密な構造なため、内部の金属を腐食から保護しています。

一方、鉄の酸化皮膜は粗いため内部の金属を保護することはできません。

以上のように、耐食性は金属のイオン化傾向や、金属が生成する酸化皮膜の状態のよって異なります。

鉄のように緻密な酸化皮膜を持たない金属を腐食から守るには、金属とその周囲の気体や水蒸気などを遮断する必要があります。

その手段の一つがめっきです。

めっきは金属を酸化皮膜の代わりにめっき皮膜で保護するということです。

ちなみに、先に述べた酸化皮膜があるとものにめっきを施すとめっきの密着性に悪影響を及ぼすため特殊な処理を施す必要があります。

 
ステンレスとは鉄を主成分としてクロム、物によってはニッケル、マンガンなどを含む腐食しにくい金属です。

各成分の含有率によりいろいろなバリエーションがありますが、もっとも一般的なものは18-8(クロム18%、ニッケル8%)ステンレスと呼ばれるSUS304です。

腐食しやすい鉄が主成分なのになぜステンレスは腐食しにくくなったのか?

それは、ステンレスに必ず入っているクロムによって緻密な酸化皮膜が形成され、ステンレス表面全体を覆っているためです。

しかし、その酸化皮膜に覆われているステンレスでも下記のような特殊な環境下では腐食します。

以下、腐食形態とその原因を記します。

・全体腐食・・・塩酸や硫酸など酸化力の弱い酸環境に曝された場合、酸化皮膜が形成できず全面に腐食が生じる現象。

・孔食/隙間腐食・・・塩素イオン、フッ素イオンなどハロゲン系イオンを含む環境下で生じる局部的に酸化皮膜が破壊される現象。任意の場所で生じる孔状の腐食を孔食、隙間で生じる腐食を隙間腐食。

・電解腐食・・・電位の異なる金属と電解質中で接触することにより局部電池が形成され腐食が生じる現象。

・粒間腐食・・・ステンレスが500~900℃くらいに加熱されることによりクロムが炭化し、クロム不足になることにより腐食が生じる現象。

・応力亀裂・・・粒間腐食、孔食などの状況下で引っ張り応力がかかることによる生じる腐食。

 

・金、白金(貴金属)


化学的に安定でイオン化しにくいため腐食されにくい金属。
 

・ステンレス、ハステロイ(合金)


ステンレスは鉄を主成分として、ハステロイはニッケルを主成分として耐食性を上げるためクロム、モリブデンなどを含有させた金属。

クロムなどの酸化皮膜により金属本体の耐食性を向上しています。

 

・銅、亜鉛


上記の金属よりは耐食性が劣りますが、鉄よりは優れている金属。
腐食の初期段階で生成される物質が表面を覆うため金属本体を腐食より保護しますが、ステンレスの酸化皮膜ほどの効果はりません。

 

・鉄、鋼


水などの触れると容易に腐食が起こる金属。
酸化皮膜による防食能力がないため腐食継続的に起こります。
先に触れたように鉄などの耐食性を上げる手段の一つとしてめっきがあります。

しかし、めっきもただ付ければよいというものでなく、適正な条件で行わないとピンホールやクラック、剥離など本来得られるであろう耐食性を著しく低下させる不具合が発生します。

このような不具合がないのを前提としてより耐食性の優れためっきを行うとしたら、以下のことが考えられます。

・皮膜の均一性・・・膜厚にムラがあると耐食性の基準が薄膜部になるため
・皮膜の厚膜化・・・膜厚が厚いほど耐食性が高いため
・皮膜の構造の改良・・・合金化、多層化などによる耐食性の向上が考えられるため
・クロメートなどの化成処理や塗装など防錆処理・・・めっき皮膜の外に更に防錆処置を施せるため
ステンレスやクロムなどのさびにくい金属は一般的に高価なものが多く、また剛性や加工性に乏しかったりします。

そのため、産業界では鉄や鋼などにめっきや塗装などを施して耐食性を上げ利用することが多いです。

しかし、めっきや塗装をいかにうまく施しても酸化皮膜にはかなわない点があります。

それはめっきや塗装ではキズなどにより金属が露出してしまうと耐食性が低下しますが、酸化皮膜の場合は自己修復機能(酸化皮膜が破れてもすぐに新たな酸化皮膜が形成される)により耐食性が維持されることです。

今後極力耐食性を酸化皮膜に近づけていきたいと考えています。