株式会社 真工社
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自動車、楽器などめっき磨きのお手入れのポイントは?
めっきの加工の違い

めっきのための磨き作業は研磨作業と呼ばれ、めっき前の作業として欠かすことのできないものです。

めっき作業を専門としている者でも研磨作業を知らないと、意図した仕上がり状態のめっき面にすることが難しくなると言われています。

どのくらいの研磨面がめっきのレベリング作用で平滑になり、どのくらいのキズがレベリング作用では埋められないか、といったことをノウハウとして十分に知っておくことが大切です。

工業用クロムめっきでは、めっき厚さと仕上がりの寸法を調整する目的で、めっきの前後に研磨作業を行うこともあります。
 クロムめっき加工は耐食性に富むことと、高級感のある光沢が見た目にとても良いため、バイクや車・トラックの外装パーツなどの耐食性・装飾性向上を目的として広く使用されています。

クロムめっき加工でない塗装品、(クローㇺ調などと呼ばれる)銀鏡メッキ・蒸着メッキ・スパッタリング等のめっき塗装は、割安でお手軽感がありますがクロムめっきに比べ、クオリティや耐久性にはかなり劣ります。

 
めっきと塗装は別物です。

めっきは電気・化学的または物理的に金属を、素材表面に析出させるものを指します。

塗装はペンキなどの塗料をスプレーガンやはけなどで表面に付けるものです。

ペンキはホームセンターなどで買えますが、めっき液は買うことはできません。

塗装は染料や顔料を混ぜて自由に色が付けられますが めっきの色は金色やグレー、シルバーなどの金属色しかありません。
ほかにも電着塗装と呼ばれるものがあります。

この電着塗装もあくまでも塗装です。水溶性の樹脂を水に溶かして電気をかけて付ける手法です。

つまり電着塗装は導電性のあるものにしかできません。
樹脂の場合は樹脂めっきを施し、樹脂表面に導電性を持たせてから電着塗装をします。

電着塗装は焼付けなければ硬化しないといわれており、通常160℃以上で乾燥させます。

 
 蒸着めっきとは窯の中を真空状態にして、気化した金属(アルミ主成分の塗料)をプラスチックなど樹脂製品の表面に付着(めっき)させる成膜技術のことで、鏡の製造法の一つでもあります。

蒸着めっきをした製品は表面が鏡のようになることから、自動車のライトをはじめとする機器類の反射鏡や自動車の内装品、また化粧品やメガネ・パチンコ台などのパーツの装飾目的などとして幅広く利用されています。
 銀鏡めっきとは銀鏡反応を利用し、表面に塗布する加工技術のことで、1835年にドイツのフォン・リービッヒが開発したといわれる、硝酸銀溶液を用いてガラス面に銀を沈着させる方法で、現在に至っても鏡の製造法の一つに数えられています。
”銀鏡反応とは還元性をもつ有機化合物の検出反応の一。
過剰のアンモニアを加えた硝酸銀水溶液を入れた試験管に試験物質を加え約摂氏60度に加熱して静置したとき、銀イオンが還元されてガラス壁面に析出し鏡をつくる反応。ブドウ糖やアルデヒドの検出などに用いる。”
【出典:三省堂大辞林】

 

●自動車外装部品


自動車外装品の装飾めっきの代表は装飾クロムめっきと呼ばれているものです。

クロムめっきは自動車の高級感の演出にかかせない表面処理技術となっています。

装飾クロムめっきの皮膜自体は、0.1~0.5µmと薄い皮膜ですが、硬く「耐食性」に優れているという特徴があります。
 

自動車外装部品として求められる美観・高級感と耐食性などの特徴を併せ持ち、外観の品質に応えるクロムのもつ輝き・色調は、アルミなどと比較して重厚観があるといわれ、米国などで特に人気がある表面処理方法です。

一方欧州などでは、ベロアめっきやサテンめっきといった防眩めっき処理による、落ち着いた雰囲気が好まれる傾向があると言われています。

バンパーやグリルといった自動車の外装部品の多くは、ABS樹脂と呼ばれるにプラスチック成型品にめっきを施したものです。

 
このクロムめっきは、硬く、傷つきにくく、耐食性、耐候性、摩耗性に非常に優れためっきとして知られています。

しかし、クロムめっき特有の美しさを長く維持するためには、正しい手入れ方法を知っておく必要があります。

 
クロムめっき処理されている自動車のバンパーやグリルは、水を使って洗車ブラシを用いず、柔らかいスポンジで優しくなでるように洗うようにしてください。

洗剤を使用した場合は、しっかりと洗剤を洗い流すことも大切です。

洗車ブラシを使用すると、細かい傷がついてクロムめっき特有の美しい光沢が失われてしまうことがあります。

さらにこの細かい傷がさびや腐食など、劣化作用の原因となります。

装飾クロムめっきの皮膜(0.002μから0.02μ)には、目には見えない小さな穴が存在します。

表面の穴をワックスコートなど、微粒子で塞いでやる。これだけで耐腐食性の向上と外観の維持に効果があります。
 

研磨剤入りのコンパウンドなどは、クロムめっき皮膜を研磨してしまうので使用しないほうが良いでしょう。

塩素系の洗剤も、クロムめっき皮膜に悪影響を与えてしまうのでNGです。
 

●スパッタリング法でのめっきの手入れ

スパッタリングとは、クロムめっきのような輝きのある仕上がりを得ることのできる塗装のことです。

クロム調の輝きを手軽に手に入れることができますが、クロムめっき処理に比べて耐食性や耐久性にはかなり劣り、クロムめっき処理に比べて劣化やひび割れが起きやすいと言われています。

手入れの方法は装飾クロムめっきの手入れ方法と同じです。研磨剤や塩素系の洗剤は避けたほうがよいでしょう。

●クロムメッキは磨いてはいけない

クロムめっき処理品を研磨剤などで磨いてしまうと、クロムめっき皮膜が研磨され下地が出てしまいます。

クロムめっきは硬く、耐食性に優れていますが、皮膜が非常に薄く下地の銅めっきやニッケルめっきの、1~2%ほどの厚さしかありません。

研磨剤で強く磨いてしまうと、下地のめっきが表れて変色しているように見えてしまいます。
 

 

●おすすめの手入れ方法

おすすめの手入れ方法はワックスコーティングによる被膜の保護です。クロムめっき皮膜の表面には、非常に小さな目には見えない穴(微孔)があります。
 
この小さな穴がクロムめっきの特徴である、耐食性の良さに寄与しています。
クロムめっきの特徴である被膜表面の穴をふさぐことは、めっき処理技術では難しいと言えるでしょう。
 
クロムめっき皮膜表面穴をふさぎ、そのためワックスコーティングすることがキズや腐食を防ぎ、光沢・外観の維持にもつながります。

 

●サビの防止方法

サビは金属が腐食した状態のことを言います。
金属が腐食するのは異常ではありません。
ごく自然な現象です。

金属の腐食とはきわめて簡単に言うと、環境や状況下により、外観が損なわれ機能を果たさない状態のことを言います。

例えば鉄で例えてみます。鉄は銀白色で簡単に曲げることができないくらいに硬いです。

鉄はサビると赤く変色してポロポロと簡単に剥がせたり脆くなったりします。

外観が損なわれ、機能を果たせない状態です。

サビ防止のための手入れは、水洗いとふき取りが基本です。

水洗いで腐食の原因となるものを洗い流し、ふき取りで変色や水残り跡をなくすようにするとよいでしょう。

●軽度の場合


金属の腐食は酸素や水、酸化物など金属皮膜の表面に触れる部分から進行します。軽度な表面のサビの場合は、研磨剤やワイヤブラシなどでその表面を削り取ります。
 

●ひどい場合や致命的なさびの場合

ひどいサビ、致命的なサビの定義は難しいですが、金属のサビは異常現象ではなく自然の現象です。

サビは防止することはできますが、腐食の進行をとめることはできません。サビてしまった素材に、サビ止め塗料を塗ってもまったく効果はありません。

まず、サビを完全に取り除いてから、次工程に進みます。サビ取りには、研磨剤やブラシなどを使用します。

変わった方法としては、化学反応(キレート作用)を利用したサビ取りの方法もあります。

●自動車以外アイテム別のめっきのお手入れ

サビは金属の酸化現象です。金属の表面が直接空気や水などの酸化物に触れなければ発生しません。

サビや腐食を防ぐためには、金属の表面が化学的に酸化反応するのを防がなければなりません。
 
サビはアイテムにかかわらず、金属の持っている特性の一つです。

めっき皮膜も金属である以上、処理方法や金属の種類により違いはありますが、表面を保護しない限り腐食は進行します。 

表面の保護も一度だけではなく、定期的に行うことが防錆には大切です。
めっきの前工程には成形や研磨と呼ばれる、めっき前加工の工程があります。

成形の加工時にめっきへの影響を与えることとして、次のことが考えられます。


・金属素材バレル研磨時の、研磨粒片の影響。
・金属素材バフ研磨時の、バフかすと変質層の影響。
・プラスチック素材表面研磨時の、研磨カスと表面キズ。
 

研磨剤のめっき素材表面の食い込みは、めっき工程では改善できず外観や物性不良の原因となります。

研磨加工側と、めっき加工側での密なコミュニケーションが必要となります。
 
装飾めっき加工後に、めっき皮膜表面を研磨することはまずありません。

装飾目的である表面の光沢感を失ってしまうからです。
 
金属の性質として通常の環境下では、ほとんどの金属は腐食します。

自動車外装部品などに多く利用されている、装飾クロムめっき

処理も金属である以上、自然環境下では腐食します。
 
金属の特性や、表面処理の方法などをよく知ったうえで、腐食の防止や対処について考えてみるとよいでしょう。