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無電解めっきとは?

電気めっきとは導体(通電性がある)の物に電気を流し、液中の金属イオンを還元させ皮膜を得ます。

そのため、以前は導体の物にしかめっきは施せませんでした。

しかし技術の進歩により電気を使用せず化学の力で液中の金属イオンを還元させる事が可能となりました。それが無電解めっき(Electroless Plating)です。

その進歩により不導体(通電性のない)の物を無電解めっきで導体にし、電気めっきが可能となりました。
 
また、近年では無電解めっきで得られるめっき皮膜は硬さ、精密性など様々な特性が付加可能となりいろんな分野で使用されています。

今回はこの優れた表面処理技術の無電解めっきについて説明致します。

 
無電解めっきとは、電気を使用せず素材をめっき液に浸漬することで素材の種類、形状関係なく均一性がある金属皮膜が得られます。

そのため、不導体素材(プラスチックやセラミック等)の物にもめっきが可能です。

現在では、自動車部品等の軽量化や耐摩耗性を必要とするブレーキ部品等、精密性を必要とするプリント基板や電子部品の回路形成など無電解めっきを使用している製品は非常に多く、現代社会を支える重要な技術です。

 

・無電解銅めっき


無電解銅めっきは、1930年代に銀鏡反応によってガラス表面に銅を成膜した事が始まりとされています。
1940年代後半に、H.NarcusやS.Weinがアルカリ性の銅-酒石酸錯体の溶液(フェーリング液)に還元剤としてホルムアルデヒドを添加し、銅めっきを成した事がきっかけとなり無電解銅めっきが広まりました。

 

・無電解ニッケルめっき


無電解ニッケルめっきは1944年A.BrennerとG.Ridellによって偶然発見され、1946年に公表されました。彼らは、Ni-W合金の研究中、電析時のアノードの酸化を防止する目的で、還元剤である次亜リン酸塩を添加し、電流効率が120%~130%に達する異常現象が起こりました。

この現象を深く追求した結果、電解だけではなく次亜リン酸塩の還元作用よっても析出したことを知り、適当な溶液組成条件のもとでは、化学的にめっき膜が形成される事を確認しました。

しかしこの画期的な発明も、めっき速度が比較的遅く、実用的ではくめっき面が層状で均一性がない、めっき液が不安定で寿命が短く薬品コストが高いと言った難点があり工業的な実用にはいたりませんでした。

その後、GATC(General American Transportation Co.)社の技術者たちが研究に着手し、1950年代に工業化に成功しました。

GATC社ではこの無電解ニッケルめっきの方法をCatalytic Nickel Generation(触媒的ニッケル生成)からKanigen(カニゼン)と命名し、世界各国に登録されました。
日本においては、1957年(昭和32年)に工業化が開始されました。

また、その後の研究によりめっきに利用される金属の種類が増し、コバルト、金、白金族金属などが可能になりました。
水溶液から、電気を使わないでめっきを施す方法を無電解めっきとすれば、置換めっきと化学還元めっきの2つに分けられます。

その中で、化学還元めっきは非触媒型(銀鏡反応等)と自己触媒型(無電解Ni-P等)に分かれます。

・置換めっき



置換反応の代表例が硫酸銅浴液と鉄の組み合わせです。

薄い硫酸銅液中に鉄板を入れると電気を使わないのに銅皮膜が現れます。
これは鉄素地が表面溶解するときに放出する電子を銅イオンがもらって金属になるからです。

つまり置換めっきでは下地の鉄が還元剤の役割を果たしているのです。

置換反応によるめっきのデメリットは密着が悪い事と素材表面が金属で被服されると反応は停止するのでめっき厚さが限らる事です。


 

・銀鏡反応



非触媒型の代表例としては銀鏡反応が挙げられます。

主にガラスの製造で使用されています。
この場合、素地がガラスなので置換めっきとは違い金属溶解による電子の放出はありません。

そのため、化学還元剤が必要になるのです。

銀鏡反応は銀-アンモニア溶液中に糖類やホルムアルデヒドを加え、溶液中にガラスを浸漬すると生じる反応で電子のやり取りがなされます。

めっき反応は被めっき体のガラス表面に限定されずに、めっき反応と同時に溶液全体で反応が促進されます。

溶液全体の反応が終わるとめっき反応も停止するのでめっき厚は限定されます。

 

・自己触媒型



無電解銅めっきや無電解ニッケルめっきでは、めっき槽の中の品物表面のみに反応が生じます。

無電解銅めっきは浴でホルムアルデヒド、無電解Ni-Pめっき浴は次亜リン酸塩が還元剤となります。

この場合の反応は銀鏡反応に類似しています。

しかし違う点としては反応が製品表面に限定される事です。

なぜならめっきされた金属そのものが還元剤の酸化反応の触媒になり、めっき金属自らが触媒となるからです。この反応を自己触媒反応と言います。

この反応は持続性があり、時間に比例して厚いめっきができます。

 

・無電解めっきのメリット


①通電を行うことなく素材をめっき液に浸漬するだけで、金属素材の種類、様々な形状に関係なく均一性のあるめっき皮膜が可能。

②プラスチックやセラミック等の不導体にもめっきが可能。

③めっき皮膜の特性が浴種およびめっき条件の選択や組成で様々に選択可能。

・無電解銅めっきのデメリット


①析出速度を上げるためには浴の高温維持が必要。(50℃~95℃)

②表現できる色の種類が少ない。

③皮膜が薄いと耐食性が劣る。 

 
身近にある代表的な無電解めっきは次のような役割を果たしています。
 

 ・プラスチックめっきで使用される無電解めっきと役割


・化学ニッケル(無電解ニッケル)

通常無電解ニッケルと言うときには、約90℃の高温度で操作される厚づけ用の酸性浴の事を言いますが、プラスチックめっきで使用される液は、低温度操作でのアルカリ性浴が一般的で化学ニッケル浴とも呼ばれています。

プラスチックめっきでは主にABS樹脂が使用されています。このABS樹脂は70℃以上で変形してしまいます。

そのため低温度操作で反応性を上げるためアルカリ性浴を使用しています。

役割としては不導体素材のプラスチックへ導電性を付与する事です。
 

・金属めっきで使用される無電解めっきと役割


・無電解ニッケル

無電解ニッケルめっき皮膜は延性に乏しく、硬い特徴があります。

さらに熱処理を行うと硬質クロムめっきなみの硬さになるため、硬質クロムめっきに次いで使用されています。さらに硬さにともなって、耐摩耗性も優れています。

また電気めっきでは製品形状による膜厚の差が発生します。

しかし無電解ニッケルめっきでは膜厚の均一性が得られるので、精密精度(部品部品の勘合)が要求される物へのめっきが可能です。

役割としては製品形状に関係なく膜厚の均一性をが得られ、硬さや耐摩耗性を付与する事です。


 

・プリント基板の回路形成めっきで使用される無電解めっきと役割



・無電解銅

 プリント基板はガラスエポキシと言う合成樹脂上に印刷配線された銅回路上にICや抵抗、コンデンサーなどの電子部品がびっしり搭載されています。

この電子部品とプリント基板をはんだで溶接しますがそれだけだと電気抵抗が発生してしまいます。

そのため、電子部品とプリント基板が接続するプリント基板側に無電解銅や硫酸銅めっき(スルーホールめっき)が使用されます。

銅は伝導性に優れた金属なので電子部品の回路形成でも重要な役割を果たします。
 現在ではプラスチックへのめっきが可能になり、製品の軽量化や自由かつ複雑なデザインへのめっきが施せるようになりました。

また、エレクトロニクス産業は近年急速に発展しています。

その中でも電子製品の軽量化、大容量化が求められていますが、これにはプリント基板の多重層化や配線の微細化、精密化、高機能化が必要不可欠です。

そしてそれを可能にしているのが無電解めっきや電気めっきなのです。

今回上記で説明した無電解めっきは比較的新しい技術なので今後も産業の発展に役立つのはもちろんの事、新たな産業への応用や使用が続くと思います。