株式会社 真工社
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電気めっきとは?

めっきは、金属や樹脂などの素材の表面に銅、ニッケル、クロム、金といった金属の薄い皮膜を素材に析出させる技術です。

電気めっきは、その方法の一つで、電気エネルギーによって溶液中の金属イオンを還元し、素材に皮膜を形成させる方法です。

 
めっきをしたい(析出させたい)金属や樹脂の素材を陰極(マイナス側、カソード)として、めっき皮膜となる金属のイオンを含む溶液に浸し、電気分解します。

このとき、めっきをつけたい金属が陽極(ブラス側、アノード)となり、両極間に電圧を加えると電気が流れます。

その際、陰極界面からはマイナスに荷電した電子が供給され、この電子を、陰極側の品物の界面近くに存在する金属イオンが受け取って(還元)、金属として表面に皮膜を形成します(析出)。
 
品物を取り付けた治具をめっき液に入れ、陰極の極棒にセットすると、整流器から直流電流が治具を通して品物に流れ、めっき皮膜を形成していきます。

電流値は基本的に被めっき物の表面積で決まります。単位面積当たりの電気量を電流密度といい、各めっきに適正な範囲があります。

めっきされている品物の表面には電流分布が生じ、陽極に近く、出っ張った所には電流が多く流れ、奥まった所では電流が弱くなります。

すなわち、電流密度が高い所にはめっきが厚くつき、電流密度が低い所ではめっきが薄くなるので、同一製品でも部位によりめっきの厚さが異なってきます。
 
めっき液には、金属イオンの供給源、電気伝導性を付与する薬品、pHの緩衝剤、陽極溶解剤などの目的で薬品を混合しています。

また、めっきの表面に光沢を付与する目的で光沢剤、表面の平滑性を向上する目的でレベリング剤、ピット(穴)を防止する目的でピット防止剤などが用いられています。
 
一方で、電気を使わないめっき方法を無電解めっきといいます。無電解めっきは、めっきしたい品物の表面で酸化反応と還元反応が繰り返され、電子のやり取りによってめっき反応が行われます。
 
電気めっきの場合には、電流密度と時間により、また無電解めっきの場合には時間と温度差によりめっきの厚さを自由に変えることができます。
ながらく、めっきは電気を使わない置換めっきで行われてきました。

電気めっきは、1800年、イタリアでのボルタ電池が発明されたことによって、電気化学上多くの発明があり、めっき方法が発達したことから始まりました。

それ以降、電気めっきが可能になり、浸漬法による金めっき、電解法による銅めっきなどめっき法が発達していきました。

 日本初の電気めっきは、1855年、薩摩藩の島津斉彬がダニエル電池を使って甲冑品に施した金、銀めっきといわれています。

 1960年代以降には、プラスチック、繊維、セラミックスなどめっき対象が金属以外にも広がり、付与させる機能も装飾性目的から防錆性、耐摩耗性、電気伝導性など多様化しています。

 

・金めっき


装飾用部品から電子部品のめっきまで、幅広く使用されています。

金めっきは、耐食性に優れ、経時変化による接触抵抗値の変化が少なく、またはんだ付け性や導電性が良いことから、最近では装飾用の用途より電子部品へのめっきとして多く用いられています。

・銅めっき


 プラスチック上への下地めっきからプリント配線板へのめっきまで幅広い用途があります。銅は柔らかく研磨しやすいため下地めっきとして利用され、またレベリング作用がすぐれているのでプラスチック上へのめっきに最適です。

また優れた電気伝導性があり、これを利用する機能めっきなど多くの用途で用いられています。

・亜鉛めっき


防食用のめっきとして一般的に用いられています。亜鉛めっきは、鉄に対して自己犠牲作用が働き、亜鉛自らが溶解し、鉄の腐食(赤さびの発生)を抑制する働きをします。

・クロムめっき


装飾めっきの最外層のめっきとして、あるいは工業用クロムめっきとして、広く用いられています。

耐摩耗性に優れ、低い摩擦係数を持ち、離型性がが良いこと、耐食性が優れていることなどの特性から機械部品などに最も多く用いられています。

・ニッケルめっき


日本では1892年に初めて行われたといわれています。
当初は無光沢めっきが行われており、研磨して装飾的な用途として用いられました。

その後1950年代に光沢ニッケルめっきが行われるようになって飛躍的に使用量が増えました。

現在では、各種の下地めっきとして、装飾的な用途にも電子部品などの機能的な用途にも多く用いられている主要なめっきです。

 

・銀めっき


金とならび装飾品全般に活用されています。

食器や装身具へのめっきもその一つです。洋食器への銀めっきにより水分中の微生物や細菌が殺菌され、衛生上好ましいなど銀めっきには目に見えない利点もあります。

さらに電気伝導性が金属中でも最も優れており、めっきとしても多く使われています。

リードフレーム、各種スイッチ、端子、接点などに用いられ、特に、重電機部品の断路器、がいし端子、配電盤のブスバーなどに用いられています。

さらに、潤滑性、焼き付き防止性、シール性が優れているので工業用としても軸受け、かん合部品、メカニカルシールなどの部品に多く用いられています。

 
<メリット>

・様々な素材に光沢感を持たせることが可能。

・耐食性に優れている。

●ニッケル、銅系の下地めっき
・耐摩耗性に優れている。

●クロムめっき
・電気伝導性に優れている。

●銀、銅、金、スズめっき
・はんだ付け性に優れている。

 
<デメリット>
・電流分布の影響により、一つの製品でめっき厚さのバラツキがでる。
・大きさ・形状・材質に制限がある。
 

 

電気めっきは、メリット・デメリットはあるものの、今やあるゆる産業を支え、なくてはならない基盤技術です。その原点は、金属の特性を薄膜の形で生かすという特徴にあります。

特有の外観、電気伝導性やはんだ付け性など金属でしか得られない特性、さらには耐食性、耐摩耗性などを付与できる安価で生産性の良い手法です。